私が五智吟社に入会したのは、昭和四十年頃である。小木菟先生はその頃既に、ホトトギス同人として活躍されており、私にとっては正に雲の上的存在の方であった。以来「ホトトギス」「五智吟社」を通じて四十余年ご指導を賜わったことになる。
先生は、句会ではいつも謙虚で、静かに皆さんの句を聞いておられる姿が印象的であった。また先生の発表される作品は、どれも新鮮であり、季題の本意が的確に把握されており、詩情の深いものばかりで、自ら感銘、納得させられてしまうのであった。「先生は今日はどんな句をお出しになるのかな」などと、それも楽しみで通わせて頂いた。
昨年六月、上越市の初心者俳句吟行会の帰途、小木菟先生が「おれ明日病院で検査することになっているんだ」と言われたのだった。以来治療に努められたが、その甲斐もなく本年四月八日未明、奇しくも虚子忌の日に、忽然とこの世を去ってしまわれた。
小木菟先生は、親鷲聖人御流罪八百年記念全国俳句大会の実現に尽力されたのだが、大会を目前にしてお倒れになってしまわれた。しかし、大会関係役員の皆様のお力により、大会が盛会裡に終了したことは、小木菟先生もお浄土で、さぞお喜びのことと思う。
今、私の手に小木菟先生の遺句集「ゐなか」がある。ずっしりと重い。この重さは、いわば、虚子(きょし)、年尾(としを)、汀子(ていこ)と三代に亘って師事され、研鎮を積まれた小木菟俳句の真髄の重さでもある。この御句集を鑑として、精進することをお誓いし、心からお念仏申し上げたいと思う。 合掌 |