高田別院だより 2011年3月10日 第22号
再びの人生
藤井 敏子
再びの人生我に去年今年(こぞとし) 敏子
一山に初日あまねく射してをり   同

 私は、平成二十一年十月に胃癌の手術を受けました。毎年定期健診を受け、自分の健康には自信を持っていました。その年の健診で癌細胞が発見され、告知を受けたときの驚き、困惑はとても文字で表現できるものではありません。死の宣告を受けた状態でした。担当医の「早期発見だから…。」の言葉に希望を託して手術を受けることにしました。
爽やかな目覚めとなりし術後かな  敏子
点滴の管を引き連れ廊夜寒     同

 しかし、癌細胞を摘出したとはいえ、再発の可能性がないとはいえません。職場の同僚、俳句の仲間、友人等多くの方々の温かい言葉に励まされて仕事に復帰し、大好きな俳句の会に顔を出し、健やかに暮らさせていただいております。

顔ぶれの揃ひ句会暖かし  敏子

 私と俳句の出遇いは、生前の姑の希望もあり、また主人の勧めもあって俳誌「松の花」(安原 葉先生主宰)の仲間に入れて頂いた時から始まります。また堀前小木菟先生の高田別院俳句教室にも参加させて頂くことができました。先生方からは、「ともかく、歳時記を丸覚えして多くの写生の句を詠み、多くの句を捨てること。」と、いつも言われていました。「多作」は言葉を探しながらできますが、「多捨」は難しいものです。 「再びの人生」出発に向かって、迷ったり後戻りする事なく、介護の仕事や俳句作りに勤(いそ)しみたいと、愛猫を相手に呟いている日々です。

幻子に叱られてゐる子猫かな   敏子
半分は叱られてゐる夏休み    同

高田別院俳句教室に参加しませんか。
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